AIの資格、JDLA Deep Learning for GENERAL いわゆるG検定(2019#3)を受験し合格したので、G検定の紹介と私の勉強法を紹介したいと思います。
E資格の勉強法についてはこちらの記事をご覧ください。
試験の概要
JDLA試験
JDLA試験とは、日本ディープラーニング協会(略称:JDLA)が運営するディープラーニングに関する資格試験です。
ディープラーニングに関わる人材の育成を目的に主催されています。
国家資格ではありませんが、AI関連の資格としては現状最も権威ある団体の資格であり有名です。
特に今後AI需要が急速に増えていくなかでAI人材の不足していくという背景もあり価値のある資格になるのではと思っています。
2017年に第1回の試験が実施された比較的新しい資格試験ではありますが、「役立つIT資格」ランキングにG検定がランクインしてましたね!
JDLAはディープラーニングを事業の核とする企業が中心となり、ディープラーニング技術を日本の産業競争力につなげていこうという意図のもとに、東京大学の松尾豊先生を理事長として設立されたそうです。
JDLAの詳細は公式HPをご覧ください。
G検定とE資格
JDLA試験は2種類あります。
1つはG検定(ジェネラリスト)、そしてもう1つはE資格(エンジニア)です。
どちらもディープラーニングに関する資格試験と案内されていますが、ディープラーニングに限らずAIに知識が広く問われる試験となっています。
G検定は「ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているか」を検定する内容で、ビジネスに活かすことを主としています。
E資格は「ディープラーニングを実装する能力を有しているか」を検定する内容で、バリバリAIを実装していくエンジニア向けとなっています。
そのためG検定では難しい数式やプログラミングの知識を問われることはありません。
それだとエンジニアにはG検定は不要なの?と思われるかもしれませんがそんなことはありません。
G検定にはディープラーニングの手法以外にも、AIの歴史(今は第3次AIブームですが第1次、2次ブームははぜ終焉し第3次はどこが異なるのか)や、法律関連(AI生成物は著作物として認められるのか)など、AIの幅広い知識が問われます。
これらの知識はエンジニアにも当然必要な知識背景になるのではと思っています。
(人名やよくわからない定理なんかも問われますが、そこは試験上おまけの知識としておさえておけばよいのかなと思います。)
G検定の受験資格には制限はなく誰でも受験することができますが、E資格にはあらかじめJDLA認定プログラム(外部講座)を受講完了しておかないと受験できないようになっています。
(正直E資格は受験までのハードルが高いです。。。)
そういうこともありまずはG検定を受験される方が多いのではないでしょうか。
公式HPには、JDLA試験実施レポートとして受験者数や合格比率、地域、年齢、役職別など細かい情報が載っています。
この情報をもとにG検定の受験者数を勝手に予測してみました!
適当にエクセルで回帰しただけですが、指数関数的に受験者が増加する傾向にあります。(どこかで頭打ちになると思いますが。。)
それだけ注目度も期待値も高まっている資格といえると思います。
ちなみにE資格が”E検定”という名前ではないのは、すでに「電気・電子系技術検定試験」としてE資格という名前で存在しているかららしいです。
E資格のことをE検定と呼んでいる人も多いですが、正しくは”E資格”ですので覚えておきましょう!
G検定の概要
G検定の概要を下の表にまとめました。
概要 | ディープラーニングを事業に活かすための知識を有しているかを検定する |
受験資格 | 制限なし |
試験概要 | 120分、小問226問(2019#3実績)の知識問題(多肢選択式)
パソコンから受験するオンライン実施(自宅受験) |
試験時期 | 年に2,3回ほど実施予定 |
出題問題 | 公式HPのシラバスより出題 |
受験料 | 一般 12,000円+税 学生 5,000円+税 |
申込 | G検定受験サイトより申し込む(クレジットカード決済またはコンビニ決済) |
注目すべきは試験概要の欄です!
まずは試験時間と問題数です。試験時間は120分でありながら問題数は226問と多く、1問1問は4~6択の選択問題ではありますが1問あたりに割ける時間は30秒ほどです。
そしてもう一つは、自宅のパソコンから受験するオンライン実施ということです。
公式にはアナウンスされていませんがネット検索や書籍で調べる行為、つまりカンニングが黙認されています!
カンニングは可能なのですが、いかんせん問題数が多いので、すばやく解答しないと間に合いません。
そのため、なんでもかんでもネット検索に頼って調べていると全然時間不足という状態に陥るわけです。
試験に臨む際には、基本的にカンニングなしで解ける状態まで仕上げておき、不足知識はざっくりとインプットだけして、試験本番では軽く調べて答えがすぐ導きだせるようにしておくのがよいでしょう。
特に年号や人名、法律・倫理関係は暗記するのが面倒なのでカンニングに頼って挑んでもよいと思います。
そうでないと学習コストが半端ないですからね!
私が試験を受けたときは、120分のうち80分で問題を1巡することができました。
残りの40分は予めチェックをつけておいた問題(問題にチェックをつけておいて後から見直しができます)をネット検索などで調べて補間していきました。
40分あれば結構検索できますし、解答の角度があがったと思います。
また出題問題については最先端のAIの試験ということもあり毎回微変更される可能性があります。
公式HPのシラバスをよく確認しておきましょう。
2019#3のシラバスは↓このようになっていました。

G検定のシラバス
例題もあるので事前に問題の雰囲気が確認できます。
参考にここでも例題を1つ転記しておきます。
この例題のように1つの問題文の中に複数の小問題(ア、イ、ウなど)が含まれていることがあります。
これで問題数3つとしてカウントされます。ですので問題数226問といっても実際の問題文の数はもっと少なくなります。
気になる合格率は?
合格率は公式HPで発表されています。

G検定の合格率
初回と第2回は57%ほどでした。第3回以降はすこし合格率が上がり、平均は70%弱です。
合格率は70%!
この数字だけをみるとやたら簡単そうに思えますが、G検定はまだ認知度も低く受験者は意識の高い方が多いと予想されます。
きちんと対策をしたうえでの合格率なんだと思います。
G検定の難易度は?
G検定の勉強教材は充実していると思います。
G検定公式テキストに始まり、問題集、Web模擬試験など、勉強教材は質が高いものがそろっています。
これらをきちんとやっていれば決して難しい試験ではないと思います。
過去問はあるの?
残念ながら過去問は存在しません。
というのも、このG検定は受験時の規約として試験問題の転載はもちろん保存さえも禁止されているからです。
勉強開始地点でのAI知識
基礎的な数学や統計学の知識はありました。(統計検定2級をもってます)
ディープラーニングに関しては「ゼロから作るDeepLearning」の書籍を1周読んでいたので、基本的な理論はわかる程度でした。
しかし、AIの歴史やディープラーニングの応用、特に法律・倫理はほとんど知らない状態でした。
バーニーおじさんのルール?なにそれ?バニーガール姿のおっさんか?くらいの知識。
ちなみにバーニーおじさんのルールとは、G検定のテキストに登場するルールであり、
「機械学習において学習に必要なデータ数は説明変数(パラメータ)の数の10倍」というものです。
勉強期間
G検定の存在自体は5月くらいから知っていましたが、7月に実施された2019#2の受験者さんがTwitter上で難しいという発言をされていてなかなか挑戦する気になれませんでした。
9月のある日、書店でG検定の問題集を見かけ立ち読みしてみたところ、問題が意外と簡単に思え、内容も面白いと思い受験の決心しました。
10月に入ってから本格的に勉強を初めて、11月9日に試験を受けました。
およそ1か月あまりの勉強期間になります。
平日は1~2時間、休日は2~3時間を勉強時間にあてていました。
(途中1週間くらいさぼったりしましたが。)
ちなみに、Twitter上で難しいといわれていたのは法律関連の問題でした。
法律関連は基本的な問題は予想できますし、未知の問題でもある程度ググれば選択肢を絞れます。
最悪捨て問としても十分合格ラインに届くと思います。
勉強法
参考図書
購入すべき本 Must
ディープラーニングG検定(ジェネラリスト)公式テキスト
通称、白本。JDLAが出している公式テキストだけあって信頼できます。
内容がわかりやすく、G検定の受験に限らずAIの知識本としても勉強になります。
まずはこのテキストを読んで基本的な知識を身に付けるとよいと思います。
ただ、このテキストには載っていない内容の問題も平気で試験に出ます。
このテキストだけやっておけばOKということはないので注意してください。
テキストの内容を深堀して出題される感じです。
徹底攻略ディープラーニングG検定ジェネラリスト問題集
通称、黒本。スキルアップAIさん出版の問題集です。
解説がとても丁寧であり、問題集ながら知識もしっかり身につけることができる本です。
G検定本番でも同じような問題が多く出題されており、試験問題のイメージをつかむのにも最適です!
G検定 ~最短合格指南書~ Kindle版
Kindle本です。内容が簡潔でとてもわかりやすいです。
試験に出やすい用語が丁寧にまとまっているので、本番でのカンニング用途としても最適です!
実際の試験で出された問題がそのまま載っていた内容もありました。
(黒本、白本には載っていなくてこの対策本にはまんま載っていたのです!素晴らしいです!)
実践で理解する G検定 ディープラーニング教本: G検定合格者が教える最短で合格する秘法 (神草出版) Kindle版
こちらもKindle本です。
G検定の内容が簡潔にまとまっています。
最新技術(例えばXLNet)も載っており、G検定対策として必須の書籍です。
購入者特典としてWeb模試サイトのアクセスキーがついてきます。
貴重な模試のサンプルですので、是非購入のうえトライしてみください。
余裕があれば購入しておきたい本 Want
人工知能は人間を超えるか
G検定の推薦図書です。
初心者にもわかりやすく人工知能について書かれています。
内容は公式テキストとほぼ同じです。
読み物としても面白いので、余力があれば読んでみてもよいと思いますが、
G検定に必須というわけではありません。
AI白書 2019
こちらもG検定の推薦図書です。
とにかく分量が多い!496ページもあります。全部読むだけでも大変です。
法律や倫理関連の内容は試験でも出題されることがあるので、
Kindle版で購入しておいて本番では検索用に活用するのもアリだと思います。
オススメ勉強法
わりとしっかり勉強したい人向けにおすすめの勉強法です。
- 公式テキスト(白本)をざっくり通して読む。(最初は雰囲気をつかむ程度でOK。)
- 問題集(黒本)の1~7章を解く。(最初はわからない問題も当然あります。そのときは先に解答から見てOKです。)
- 1~2を繰り返し実施して理解度をあげる。
- その間に、「G検定 ~最短合格指南書~」、「実践で理解する G検定 ディープラーニング教本」も合わせて読む。
- ある程度理解が深まったら問題集の模擬試験(8章)をやってみる。
- Study-AIの模擬試験(http://study-ai.com/generalist/)もやってみる。(無料のユーザー登録が必要です。)
- WEB模試サイト(https://deeplearning.sakura.ne.jp/general)もやってみる。
- 5~7の模擬試験を繰り返し解いて理解度をあげる。
- ネットやAI白書などで法律・倫理・契約などを調べておく。
- オリジナルのチートシートを作成する。
最初は公式テキスト(白本)を流しで読んでみて内容を大まかにつかむところから入るとよいと思います。章末には練習問題もあるので欠かさず解きましょう。
公式テキストと並行して問題集(黒本)の問題も解いていくと試験問題の雰囲気がわかると思います。
Kindle本の「G検定 ~最短合格指南書~」、「実践で理解する G検定 ディープラーニング教本」も合わせて読むとより理解が深まります。
ある程度理解度が深まったら、実践を意識して模擬試験に挑戦します。解けない問題も多いかもしれませんがそんなもんです。
模擬試験の内容がほとんどそのまま出題された問題もありました。ぜひ受験までには解いておきましょう。
模擬試験を繰り返しやって、ほとんどの問題が解けるようになっていれば十分な知識が身に付いたといえます。
あとは試験本番に活用できるチートシートの作成をオススメします。
フォーマットはワードでもエクセルでもなんでもいいですが本番ですぐ検索できるものがいいです。
事前知識がある方であれば、問題集を中心的に解いて公式テキストは不明点を補う程度に活用するとよいかと思います。
まとめ
AI関連の試験であるG検定の紹介と勉強法を紹介しました。
G検定は2017年に始まった新しい資格ですが、受験者が毎回増加しており注目の資格といえます。
G検定の勉強は試験のためだけではなく、AIに関する知識を身に付けるいい機会になるはずです。
ぜひG検定を通してAI知識のスキルアップを目指してもらえたらなと思います。