先日、統計検定2級に合格したので勉強法を残しておこうと思います。
統計検定2級の受験方式にはCBT方式という全国の会場でパソコンを使って受験するものがあります。
CBT方式の特徴や受験の流れついてはこちらの記事をご覧ください。
CBT方式ならではの受験の注意点も記載しています。
この記事では、統計検定2級の紹介と取得を目指す人向けに私の勉強法を公開します。
はじめに
統計検定2級とは
まず統計検定については統計検定のホームページで以下のように説明されています。
「統計検定」とは、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。
日本統計学会は、中高生・大学生・職業人を対象に、各レベルに応じて体系的に国際通用性のある統計活用能力評価システムを研究開発し、統計検定として実施します。
また、統計検定の中でも2級の位置づけはこのように説明されています。
大学基礎課程(1・2年次学部共通)で習得すべきことについて検定を行います。
(1) 現状について問題を発見し,その解決のために収集したデータをもとに、
(2) 仮説の構築と検証を行える統計力と、
(3) 新知見獲得の契機を見出すという統計的問題解決力について試験します。
つまり、統計検定2級は大学1・2年レベルの統計学が身についているかの試験になります。
統計検定2級の知識で何がわかるの?
統計検定2級の知識があれば何がうれしいのかさっぱりの人も多いかと思いますので、具体例をいくつか紹介しておきます。
その1 当選確率と試行回数の関係性がわかる!
二項分布を使った事例を紹介します。
ソシャゲのガチャで「100回に1回の確率で超レアが当たる!」などの宣伝を聞いたことはありませんか?
100回ガチャを引けば1回は当たるだろうと思い「100回ガチャ回すぜ!!」となる人も多いかと思います。
しかし、100回ガチャを引いて当たる確率は約63%しかありません。つまり1回も当たらない確率は約37%ということです。
直観的には不思議な感じですが、統計学をしっかり理解しておけば確率を数学的に算出することができるようになります。
その2 検査で陽性が出ても再検査の重要性がわかる!
ベイズの定理を使った事例を紹介します。
とある病気の検査で陽性が出たとします。
直観的には陽性が出ると病気にほぼ感染していると思われがちですが、そんなことはありません。
こちらの記事では、がん陽性でも"96%は問題なし"という驚くべき内容が掲載されています。
人間ドックの「腫瘍マーカー検査」では「感度80%でがんの陽性反応が出る」という説明を受ける。
もし陽性なら「80%の確率でがん」と考えてしまいがちだが、それは事実ではない。
その後、精密検査を受ければ、実際にがんである確率は4%程度で、96%程度は「問題なし」と判定される。
この事実を知っていれば、陽性が出たとしてもそれぼど焦る必要がないことがわかりますね。
その3 視聴率の算出方法がわかる!
推定の活用事例を紹介します。
皆さん、テレビの視聴率ってよく聞きますとね。
視聴率は全世帯の中から一部の世帯の視聴記録だけを用いて全体を推定しています。
具体的には、1600万世帯のうち600世帯の視聴履歴のみから全体の視聴率を統計学を使って推定しているんです。
たったの600世帯で推定している・・・!これって不思議ですよね。
なぜ600世帯でいいのか、その理論が理解できるようになります。
視聴率に限らず多くの事例で活用されています。
その他には、選挙の出口調査から当選を推定するときなんかにも用いられています。
受験のきっかけと当時の統計知識
統計検定2級の受験のきっかけ
統計検定2級を受けようと思った主な理由はざっとこんなところです。
- 仕事でデータ解析を行っているが、統計学をいまいち理解できていないと感じていたので一から学びたいと思った。
- AIの勉強もしているが、データサイエンスを行うには統計学の知識を知っている方がよいと思った。
- 学生の頃は統計に苦手意識があったが、統計学を知っていれば世の中の事象を新しい視点でみれると思った。
当時の統計知識
学生の頃は授業で確率・統計学を受講しましたが、社会人になりほぼ忘れていました。
最近の業務ではデータ分析もやっていたので、正規分布や基本的な統計量(平均、最大、最小、標準偏差など)については理解していました。
しかし、その他の主要な確率分布(二項分布・ポアソン分布・指数分布など)や推定・検定についてはほぼ知識ゼロという状態でした。
勉強期間
4月から勉強を開始して7月6日にCBT方式にて受験しました。
およそ3か月の勉強期間になります。
平日は1時間、休日は2時間を勉強時間にあてていました。
(途中2週間くらいさぼったりしましたが、モチベーションを絶やさず合格までいけました!)
勉強法
オススメ勉強法
- 統計WEBのサイトをざっくり通して読む
- 疑問点はネットで検索する、参考図書で調べる。
- 問題を解く。自分で問題を解いて理解しないと試験のときに必ずミスをします。
- 1~3を繰り返し実施する。
参考サイト
統計WEB
中でも統計WEBでは統計検定2級の内容が体系的にまとまっていて非常に重宝しました。
各章末には練習問題もあり、このサイトだけで大体の範囲をカバーできます。
オススメの勉強法は、まずは軽く流し読みして全体の内容をつかむ。
2週目はじっくり読んで理解を目指す。解答を見ながらでもよいので練習問題も解いてみましょう。
あとは気になる単元を3週、4週と繰り返し読んで解いていけば実力が付くはずです!
「統計学演習」テキスト
無料で練習問題とその解答を公開されています。
確率統計学|予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」 - ヨビノリ
YouTubeチャンネル《予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」》 ヨビノリさんのホームページです。
数学や物理を中心にわかりやすい講義動画をアップされています。
その中でも推定・検定のYouTube動画も公開されており、有名講師の予備校の授業を聞いているようで解説がとてもわかりやすいです。
本当にオススメです!動画講座がこれほど理解の助けになるとは!
参考図書
購入すべき本 Must
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集
過去問が6回分入っています。最低でも2週はしておくとよいでしょう。
過去問6回分解けばだいたいの傾向はつかめると思います。
一部難易度の高い問題もありますが、それは無視してもよいかと思います。
6割とれれば合格なので、滅多に出題することのない難問に時間をかけてもしかたありません。
よく出る問題を必ず解けるようにしましょう!
余裕があれば購入しておきたい本 Want
統計学入門
タイトルに入門と銘打ってはいますが、はっきり言って初心者には難しいです。
本書は統計検定2級を取得するためだけではなく、統計学を学ぶうえで将来に渡ってとても助けとなる良書です。
しっかりと基礎から理解したい人にお勧めです。
統計検定2級の取得のためには、難しい数式や証明はすっ飛ばして読み進めてもいいと思います。
統計検定2級 模擬問題集1~3 Kindle版
統計WEBのサイト管理者さんが作成した統計検定2級受験者向けの模擬問題集です。
統計検定2級に合格するには知識だけではなく問題を解くことで得られる感覚も大切です。
Kindle本で安価なため、余裕があれば購入して問題に慣れておくことよいでしょう。
ちなみにKindle Unlimitedの場合は無料で読むことができます。
まとめ
以上が統計検定2級の紹介と私の勉強法となります。
統計学の勉強はとっかかりこそ理解が難しいかもしれませんが、勉強すればするほど確実に身につく分野だと思っています。
コツコツと焦らず進めていけば必ず統計検定2級に合格できると思いますので是非挑戦してみてください!
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